マタニティ専門鍼灸院 銀のすずは
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妊娠とビタミンA

妊娠中のビタミンAは、危険だと思っている妊婦さん多いですよね?

この話には飛躍し過ぎた結果の話が原因となっています。

一昔前、寒いとある外国で熊を食べる習慣があったそうです。
きっとマタギのような熊を撃ち、食する文化なんだと思います。
その中でも肝臓は最高のご馳走だったでしょう。
妊婦さんも喜んで食べたのではないでしょうか。
結果、肝臓にはビタミンAが過剰にあるため、胎児奇形となりました。

この頃から、妊娠中はビタミンAの過剰摂取は注意しましょうといわれるようになりました。

その後、ある国で妊娠した女性は、ビタミンAの摂取は胎児に問題を起こすと思い、摂取することを一切やめました。
結果、胎児奇形となりました。

これらの話は、極端な話で合って、ちょうど中間がありません。
ビタミンAは不要ではなく、必要であり、ちょうど良い量が求められているということを知らなくてはなりません。

そもそもビタミンAは本当に危険なものなのでしょうか?

善悪を決めるのではなく、正しい知識があれば怖がる必要はなく、むしろ重要性を認識できると思います。

まずはビタミンAが発見された歴史です!
1915年E. V. McCollum は、卵黄やバターに含まれるネズミの成長増殖に必須の栄養因子として発見しました。
脂肪に溶けるものと水に溶けるものがあることを明らかにし、それぞれ脂溶性A、水溶性B因子と名付けました。
1922年J. C. Drummond は、この脂溶性Aのなかの一つをビタミンAと呼びました。
1931年 P. C. Karrerにより、炭素20個からなるジテルペノイド(アルデヒド・カルボン酸誘導体)に属し、鎖状構造式の末端にアルコール基を持つことが明らかにされました。
(簡単にいうと、ビタミンAの化学構造が発見されました!)

1934年、網膜(レチナ)からビタミンA(アルコール体)とよく似た物質が発見され、このアルコールが酸化されたアルデヒド体やカルボン酸が生体内において活性本体として作用していることが判明し、同じ生理作用をもつ合成化合物も含め,これらを総称し、レチノイドと呼ばれています。

一般に、ビタミンAという場合にはこの中のアルコール体( レチノール)を指しています。
また、よく混同されるものに、カロテノイドがあります。
緑黄色野菜に含まれるカロテノイドの一部には、動物体内でビタミンAに変わるもののあることが知られており、強い抗酸化作用をもちます。
これらはビタミンAとしての効力をもつためプロビタミンA(αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン)と呼ばれています。

では次にどのくらいの量がいいのか、多く含まれている食品は何かです。
私たちが食品から摂取するビタミンAには、動物性食品から摂取するレチノールと、植物性食品から摂取するプロビタミンAがあります。

日本人のビタミンAの推奨量~上限は、18~49歳の成人男性550~6000μgRE/日、女性650~6000μgRE/日と言われています(※個人差があります)
ビタミンAは脂溶性なので、過剰に摂取すると体内に蓄積され上記の過剰症がでるので注意が必要ではあります。
一日2,700μgRE 以下 にとどめるのが良いとされています。
プロビタミンAであるカロテノイドは、過剰症がないことが知られているので、ビタミンAの摂取としては、ビタミンAおよびカロテノイドそれぞれから半量ずつとることが望ましいとされています。


ここで、ビタミンAを多く含む食品をピックアップしてみました。
日本食品標準成分表2015によると
鳥:肝臓(生)    レチノール活性当量14,000μg
豚:肝臓(生)    レチノール活性当量13,000μg
ホタルイカ(ボイル) レチノール活性当量1,900μg
ウナギのかば焼き   レチノール活性当量1,500μg
フォアグラ      レチノール活性当量1,000μg
スジコ        レチノール活性当量670μg
ニワトリの卵     レチノール活性当量450μg

味付けのり      レチノール活性当量2,700μg
モロヘイヤ      レチノール活性当量1,700μg
にんじん       レチノール活性当量1,500μg
あしたば       レチノール活性当量880μg
ほうれん草      レチノール活性当量770μg
かぼちゃ       レチノール活性当量660μg
※100g当たり

鶏や豚のレバーなどの動物性食品のレチノールは、約90%の吸収率があります。

カロテノイドの代表である β-カロテンの場合、ビタミンAへの換算法は、腸からの吸収がビタミンAの6分の1とされていること、また半量がビタミンAに変換することから、摂取量の12分の1と言われています。
動物性ビタミンAは吸収率が良く、植物性ビタミンAは吸収率が悪いということです。

すべての食品中のビタミンA含量は、レチノール活性当量として次の式で求められます。
ビタミンA、脂溶性ビタミン、胎児奇形、予防、体質改善

ビタミンAは、脂溶性ビタミンなので脂に溶けやすい性質があり、調理による損失は比較的少ないといえます。
一方、プロビタミンAだと例えば、ほうれん草のカロテンは、ゆでた場合には10~20%、油炒めだと5%ほどが損失されると言われています。
光や酸素に弱いので、調理形態、調理時間によって損失率が高くなることがあります。
ビタミンAなどの脂溶性ビタミンは、油と組み合わせて食べる事で吸収効率を高める事ができます。
例えば、ソテーにしたり、生で食べる場合はドレッシングと一緒に食べると吸収率が上がります。
また、カロテノイドは種類によって抗酸化作用が異なり、対応する活性酸素も異なるので、いろいろなカロテノイドをまんべんなく摂ることも大切です。

次に欠乏症と過剰症です。
妊活されている方は特にこの部分が気になるのではないでしょうか?

まず、欠乏症です。
ビタミンAの欠乏症の代表例は、夜盲症があげられます。
夜盲症とは、暗くなると視力が低下し,また暗さに目が慣れるのがおそくなる症状です。俗にいう鳥目です。
これはビタミンAから作られる目の網膜にあるロドプシンという物質が不足することが原因です。
また、欠乏症により皮膚乾燥症も疾患としてあげられます。
皮膚が乾き、丘疹ができて、粘膜の抵抗性が減少、感染症にかかりやすくなります。
妊婦さんが欠乏した場合は未分化性の胎児奇形(単眼症など)のリスクが生じます。
近代以前の日本では、肉食文化が乏しく、ビタミンA欠乏が多くいたといわれています。

次に過剰症としては、皮膚の剥離、食欲不振、頭痛、吐き気や肝障害などがあげられます。
妊婦さんが過剰摂取するとよくない!ともいわれています。
その真意としては?
妊娠12週までにビタミンAを連日4,950μg 摂取すると、水頭症や口蓋裂等、胎児奇形発生の危険度がビタミンA摂取量1,650μg未満の妊婦に比して、3.5倍高くなると報告されています。

ウナギで換算すると、通常のかば焼きサイズ200gで、3,000μgに相当するので計算上は毎日食べても問題はなさそうです。
ニワトリの卵で換算すると、Mサイズ1個の卵50gで、200μg含まれ、毎日10個食べても2,000μgなので問題はなさそうです。

結局は、多すぎても少なすぎても良くなく、バランス良く摂取することが大切ということです。


ここで、最後に生化学と生理作用です。
量的にバランスが重要だということはご理解いただけたと思います。
さらに質的にもバランスを考える必要があります。

まず、体内に食品から摂取されたビタミンAは、動物性の場合レチニルエステルの形で存在し、植物性の場合β-カロテンなどのカロテノイドとして存在します。
脂質とともに小腸で胆汁酸によってミセルを形成し、小腸絨毛から吸収されます。
レチニルエステルは小腸上皮細胞内でレチノールと脂肪酸に分解され、細胞の中に取り込まれます。
レチノールは再び脂肪酸と結合して、レチニルエステルの形となりカイロミクロンの中へ取り込まれ、リンパ管を通り血液中に入り肝臓へ運ばれます。
肝臓には、ビタミンA貯蔵細胞があります。
体内のビタミンAのうち、約90%は肝臓に脂肪酸エステルとして貯蔵されます。
必要に応じて加水分解され、肝臓で合成されるレチノール結合タンパク質(RBP)と特異的に結合したあと、酸化されて生理作用を発現します。
そして、皮膚や網膜、各種組織(標的細胞)へ運ばれます。
ビタミンA、視力、胎児奇形、体質改善

標的細胞へ取り込まれたレチノールは、必要に応じて同族体に変換され、生理作用を発揮します。

例えば網膜へ運ばれた場合特異的なレセプターを介して細胞内へ取り込まれ、まずレチナール(オールトランス-レチナール)に変換、さらに酵素により11-シスーレチナールに変換され特異的結合たんぱく質オプシンとともにロドプシンを形成します。
この複合体は光の刺激を受けて各種のレチナール中間体を生成し最終的にはメタロドプシンとなって視神経に光の情報を伝えます。
この光のサイクルが終了すると、11-シスーレチナールは オールトランス-レチナールとなって視覚サイクルに入り再び働き始めます。
また、カロテノイドは、小腸で50%がレチノールに転換されますが、残りはそのまま吸収され、リンパ管や血管を経て肝臓で取り込まれます。
なので、50%はカロテンのまま生体で働くというわけです。
ビタミンA、紫外線、抗酸化作用、体質改善

カロテノイド類は、プロビタミンAの機能だけでなく生体内に生成して、老化やガンなどの原因となっている活性酸素の消去作用(抗酸化作用)があります。
なので、ビタミンAの供給だけでなく、疾病の予防にも役立つことが知られています。
最近、レチノイドをがん治療薬および再発予防に用いる臨床試験で大きな成果が報告されています。
特に急性前骨髄性白血病患者に対してレチノイン酸は完全寛解に至るほど著効を示し、肝がん再発率も著しく低下させる報告もあります。
レチノイドは、今やビタミンという概念を超越し、ホルモンや医薬品として期待されています。

このように、動物性、植物性どちらも取るようにした方がよいことがわかります。
鉄分をとった方がいいと思い、レバーなどを毎日食べていると過剰症になります。
蓄積、過剰が怖くて植物性のものばかりをとっていると、抗酸化は期待できますが、その他のタンパク質が不足します。
何事もバランスが大切です。
できる限りのことをしましょう!!!